「農業の知恵」 × 「土木のプロ」
地球ファーストな畝づくり


黒部の休耕作地の特徴
黒部の休耕作地は、一見するとただの雑草が生えた田んぼ跡地に見えますが、実は地質的にも水の性質的にも、非常に特徴的な環境です。
この土地を理解することが、畑づくりのスタートになります。

水田としての優秀さ
黒部は「天然のいけす」と呼ばれるほど、地下水が豊富な地域です。
この水源を活かすことで、水田としては国内でも非常に恵まれた農地となっております。
さらに富山湾に近いエリアでは、砂層の上に砂利層を敷き、その上に外から土を入れて農地化する、という土壌構造になっています。
そして、水田に水を溜めるための耕盤層(粘土の壁)が土の下に形成されています。

水田をやめた後に起きること
この優秀な水田構造は、畑として使う場合には逆にデメリットになります。
耕盤層があることで水が抜けず、
- 土の中の空気がなくなる
- 嫌気性微生物が増える
- 土がヘドロ状になる(掘り返して濡れると臭い)
といった状態になります。
さらに、表層も過湿状態が続き、土の中の隙間(団粒構造)が潰れ、やがて粘土へと変化していきます。

菌ちゃん農法との相性
菌ちゃん農法では、畝を高くして水はけの良い環境を意図的に作るため、耕盤層を無理に壊さなくても対応可能です。
まさに、菌ちゃん農法の権威である吉田先生の英知の賜物であると実感させられました。
ただ、休耕作地の土は粘土化が進んでいるため、土の状態を見ながら、天候を読みながら作業を進める必要があります。
まさに工程は、「土との対話」となりました。
特に、雨の後の土あげは、スコップによる人力ではかなりの重労働になります。

重機の重要性
このような土地のコンバージョンでは、やはり重機の活用が非常に有効です。
菌ちゃん農法の畝作りは管理機(陽菜TR9000など)でも土起しや土あげなどの対応が可能ですが、
- 管理機でカバーできない粘土質の土壌は、スコップによる掘削が重労働
- 規模が大きくなると落ち葉やチップの餌の運搬頻度も多くなり、作業効率が落ちてくる
ため、重機があることで掘削と運搬の手間が解消され、初期の土壌改善スピードが大きく変わります。
今回の畝づくりも、途中の雨の影響で工程変更を余儀なくされましたが、重機のおかげで粘土質の土でもなんとか仕上げまで持っていくことができました。

畝の完成!
土木のプロの技術のおかげで、理想的な「地球ファーストな畝」が完成しました。
ここから約2か月間、このまま寝かせて、糸状菌がしっかりと繁殖するのを待ちます。


最後に
今回、研修生の実施現場としてご協力いただきました、国土開発工業株式会社様には、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
また、落ち葉収集の許可をいただいたり、気さくにお話をさせていただいたりと、楽しい時間を共有させていただきました地域の皆様にも、あわせて感謝申し上げます。


