植物に必要な栄養素とは?
メインとなる窒素と、リン酸、カリウムが「肥料の3要素」と呼ばれています。
次に、硫黄、カルシウム、マグネシウムでしょうか。
しかし植物は、窒素をそのままの形では体内で利用できません。
光合成によって生み出される糖由来の炭素骨格とエネルギーを用いて、吸収した窒素をグルタミン酸などのアミノ酸へと変換していきます。
さらに、これらのアミノ酸を材料として、酵素や構造タンパク質などのタンパク質が合成され、植物の成長や代謝を支えています。

つまり植物の成長は、光合成によって得られるエネルギーと炭素骨格、そして窒素の供給が同時に噛み合うことで、初めて進んでいきます。
そのため、植物にとって必要なだけの光合成が行われていない状態では、たとえ窒素を供給しても、体内で同化できる量には限界があります。
逆に、光合成が活発であっても窒素が不足していれば、アミノ酸やタンパク質を十分につくることができず、成長は抑えられてしまいます。
菌ちゃん農法の肥料の考え方
菌ちゃん農法では、窒素は空中窒素を固定できる共生微生物によって、植物の光合成の状態に応じて十分に供給されます。
では、リン酸やカリウムは?
これらも糸状菌や土壌微生物の働きによって、植物の生育段階に応じて必要な分だけ、ゆっくりと利用可能な形へと変換されます。
菌ちゃん農法の畝で、葉物野菜や果実の品質向上に重要な役割を果たすカリウムが不足しにくい理由は、畝の中でカリウムが新たに作られているからではありません。
カリウムは窒素やリンとは異なり、多くの場合、土壌鉱物(雲母・長石など)や有機物に含まれた状態で存在し、微生物の働きによって継続的に利用可能な形へと変換されている点にあります。
菌ちゃん農法の畝では、糸状菌を中心とした微生物が活発に働くことで、これらの鉱物や有機物がゆっくりと分解・風化し、カリウムが水とともに根の周囲へと供給されます。
その結果、野菜が必要とする量のカリウムは、施肥によって補わなくても、畝の中で自然に賄われる状態が保たれます。
菌ちゃん農法におけるカリウム管理は、「与える」のではなく、土の中にあるものが植物に届く状態を維持するという考え方に基づいています。
この穏やかな供給こそが、肥料の過不足による無理のない、安定した作物の生育につながっていくのだと感じました。

地球誕生と同時に、宇宙から与えられた窒素。
微生物がその窒素を利用することで育まれてきた、生命の循環。
そして、空中の窒素とは無関係に、今を生きている私たち。
植物のありがたみ、そしてそれを育てる喜びを享受できることへの感謝を忘れず、「地球ファースト」の視点で、これからも農業に取り組んでいきたいと思います。

