タイの暮らしとパパイヤの関係性

タイでの暮らしにおいて、パパイヤは特別な果物ではありません。
それは日常の食卓にあり、屋台にあり、家庭の庭先にある、ごく身近な存在です。

完熟したパパイヤはフルーツとして親しまれ、一方で青パパイヤは「ソムタム」をはじめとする料理に欠かせない食材です。
野菜として調味料と組み合わされ、毎日の食習慣としてその土地ごとの味があり、深く生活にも根付いています。

タイでは、パパイヤの木が家庭の敷地や道端に自然に植えられている光景を多く目にします。
特別な管理をしなくても、土と水があれば育ち、必要な分だけ収穫して食べる。
自然に腸活できている。そんな循環が、ごく当たり前の生活の中にあります。
この「生活と農が地続きになっている感覚」は、日本で農業に取り組むうえで、大きな示唆を与えてくれました。

パパイヤは成長が早く、環境への適応力が高く、用途も幅広い作物です。
同時に寒さに弱く、土壌環境や水の状態が、そのまま品質に表れます。
タイの農村では、化学的に管理された農業というよりも、土と微生物の状態を大切にしながら、自然の力を引き出すような栽培が行われてきました。

私たちが黒部でパパイヤ栽培に取り組む際、このタイの暮らし中にある感覚は大きな指針となっています。
雪解け水に恵まれた黒部の水環境、微生物の働きを活かした土づくり、過剰な投入に頼らない栽培設計。
それは決して、タイの農業をそのまま再現することではなく、土地ごとの条件を尊重しながら、「生活に根ざした作物としてのパパイヤ」を日本の環境に合わせて育てていく試みです。

タイで見てきたのは、パパイヤが「商品」である前に、「暮らしの一部」であるという姿でした。
合同会社バララーマは、その感覚を大切にしながら、黒部の地で、パパイヤを通じた新しい農業のかたちを少しずつ形にしていきたいと考えています。

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